補助金最新情報

2022/8/27

補助金で採択されるための申請書の書き方

「補助金や助成金を獲得して経営を楽にしたい」、「新しい事業をするための資金の足しにしたい」とお考えの方は多いと思います。

しかし、補助金や助成金の申請では、いかに主催者の意図にあった申請ができるかがカギとなるため、事業の内容がどんなによくても募集の主旨にあった申請や事業計画書の作成ができなくては、これらを獲得することはできません。

この記事では、補助金や助成金を申請する際のポイントや審査の注意点をまとめましたので、補助金等の申請にお役立てください。

 

補助金と助成金はどう違う?それぞれの審査の違いとは?

補助金と助成金は、いずれも返済義務のない公的な資金による援助ですが、それぞれについて法律で明確な定義があるわけではなく、その使い分けもあいまいです。

また、両者は制度の趣旨や目的が異なるため、審査方法や求められる要件もだいぶ違っています。そのため、その特徴や違いを理解すれば、自分にあったものを選びやすくなるだけでなく、趣旨にあった申請がしやすくなります。

 

補助金について

補助金は、主に経済産業省やその他の省庁が行う、特定の事業に対する給付です。

一定の政策や課題に関するテーマについて、解決や改善のためのスキームや提案ができるかどうかということが重要な審査のポイントとなります。

なお、補助金の審査は通常、コンペ的な形式で行われるため、自社のビジネスプランが優れていても、さらにそれを上回るものがある場合には、採用されないこともあります。

このように補助金の場合には、必ずもらえる資金というわけではないため、「その制度の趣旨に合致しているかどうか?」や「提案した内容が課題の解決に対して妥当かどうか?」など以外にも、「事業として成り立つものなのか?」といった実現性も審査の重要なポイントとなります。

助成金について

助成金は、補助金と同様に一定の事業に対して給付するものですが、主に厚生労働省が行うものとそれ以外(例えば東京都などの自治体)が行うものに大別されます。(一部、民間事業者が行うものもあり)

厚生労働省の助成金については、主に人の採用や雇用の維持、労働環境の改善などについて助成するという特徴があります。この助成金は、一定の条件を満たしていれば原則、誰でも受給できるというところが補助金や他の助成金と異なります。

したがって、ビジネスプランが優れているかということよりも、「申請の内容が必要な条件を満たしているか?」、「求められた書類や資料が整っているか?」といった形式的な部分が審査における主なポイントとなります。ただし、それ以外の助成金については、補助金の場合とほぼ同様となります。

 

補助金の申請から受給までの流れ

一般的な補助金の申請から受給までの流れは、次のとおりとなります。

① 公募の開始・応募

② 内容の審査

③ 採択

④ 交付決定の通知

⑤ 補助事業の開始

⑥ 定期検査

⑦ 事業の完了および報告書の提出

⑧ 確定検査

⑨ 最終交付額の確定

⑩ 補助金の請求と資金の振込

たとえば、事業再構築補助金のケースでは、交付決定から補助金の支給まで12〜14ヶ月程度の時間がかかります。
このように補助金の受給までには、ある程度の時間がかかるということを理解しておいてください

 

補助金を申請する前の3つの確認点

補助金の申請をするときには、あらかじめ以下の点に注意しておいたほうがよいでしょう。
これらの内容にあっていない場合や何らかの問題があるような場合には、補助金などの獲得が難しくなってしまうケースもあるため、申請の前によくご確認ください。

制度の趣旨や目的にあっているか?

補助金の申請では、その制度の趣旨や目的に合致した事業なのかということが重要となりです。そのため、申請のときにこの視点がないと、主催者が意図するものと違う内容のものとなってしまい、審査にも通りにくくなってしまいます。

そのため、応募にあたってはノウハウやスキル面だけでなく、その補助金の趣旨を募集要項などでシッカリと確認し、それにあった申請となっているかどうかを検討して申し込む必要があります。

 

補助事業を完了できるだけの資金があるか?

補助金は、原則として事業費の立て替え払いをした後に、後から支給されることになります。
そのため、その事業を最後までやり切れるだけの資金が必要となります。また、補助金支給の決定を受けた場合でも、資金不足で事業が完了できないような場合には、補助金は支給されません。

資金の調達方法には、自己資金を貯める、金融機関から融資を受ける、関係者から借りるなどがありますが、いずれについてもそれなりの時間がかかります。そのため、申請をするときには、必要な資金を調達する方法やタイムスケジュールをよく考えておく必要があります。

 

期限や難易度に問題がないか?

補助金では求められる難易度がそれぞれで異なり、申請期間もさまざまです。どんなに受給したいと思っても、申請までの時間が足りなかったり、求められる要件をクリアーできなければ、思うような結果を得ることはできません。

そのため、補助金の申請をする前には、「求められている要件をクリアーできるか?」や「募集期間や難易度に問題がないか?」を確認した上で着手する必要があります。

 

 

補助金申請書の記載のポイント

補助金申請書の作成には、いくつかの共通したポイントがあります。これらのポイントは多
くの補助金に共通することですので、申請の際にはあらためてご確認ください。

制度の趣旨や目的等を理解する

補助金は、一定の趣旨や目的に沿って審査が行われるため、これに外れた申請は、どんなに新規性があったり、優れたものであっても採択されません。どのような申請をすべきかは補助金により異なりますが、基本的な理念や考え方は募集要項の中に記載されています。

そのため、募集要項の内容をよく理解し、制度の趣旨や目的にあっているかを確認するこ
とにより採択の確率を上げるだけでなく、ミスマッチな申込みを防ぐことができます。

数字であらわし、根拠を示す

補助金の申請では、「事業計画の数字やその根拠」は非常に重要な要素となります。せっ
かく文章がよくても、計算ミスがあったり、大きな漏れがある場合には、大きな減点となって
しまいます。

また、数値については、「なぜ、その数字になるのか?」、「そのエビデンスはあるのか?」ということが明確かつ現実的なものとなっていないと、信ぴょう性のない計画と見られてしまうため注意が必要です。

 

審査する側の考えを意識して申請する

補助金の申請書に誤字や脱字、単純な書き間違いがないかを確認するのは当然ですが、それ以外の部分でもその内容が審査をする人に伝えたいことがスムーズに伝わるよう配慮する必要があります。

そのためには、一文を短くして読みやすくする、主語と述語を近づけて意味がつながりやすいようにする、文章間の因果関係を明確にする、論理的に説明するなどといった工夫が求められます。

 

 

申請を採択されやすくするための工夫について

補助金の申請書には「必ず採択される書き方」というものはありませんが、採択されやすくするために押さえておいた方がよいポイントというものはあります。
また、これらのポイントを押さることにより、時間の節約や作業時間の目安をつけやすくなるといったメリットもあります。基本的なことほどおろそかとなりやすいため、申請書の作成時にはあらためて以下の項目をチェックしてください。

「募集要領」から審査のポイントを読み取る

補助金の「募集要領」には、主催者がその補助事業を通じて、どのような課題の解決や、サービスの提供をしたいと考えているのかといったヒントが書かれています。

したがって、申請においては、いかにこの募集要領の趣旨や目的に沿った事業の提案をすることができるかということが最大のポイントとなります。また、申請書を作成時には、募集要領の中でよく使われているキーワード見つけ、これを軸に作成するとまとめやすくなるだけでなく、趣旨に沿った申請書を作りやすくなります。

根拠を明確にする

補助金の申請では、内容についての明確な根拠が求められますが、これを示す方法としては、統計資料、契約書、見積書等などの客観的な資料を活用するということが基本となります。

また、今後の売上げや利益のように具体的な資料を提出できないものについては、それを実現するための手段や、対策を行った場合の予測データを使うことで裏付けをしやすくなります。

 

先に全体の構成を考える

補助金の申請書については、記載しなければならない項目が多いため、「いきなり書き始めてしまう」と、統一の取れない内容となってしまうだけでなく、重複や漏れが多くなりやすくなります。

そのため、申請書の作成をするときには、事前に全体の構成をよく確認してから書き始めるようにしましょう。
なお、その際には、次のようなチェックが役に立ちます。
・ 事業プラン制度の主旨や目的にあっているか?
・ 聞かれている項目に正しく回答できているか?
・ 文章の表現やビジュアルに間違えはないか?
・ 専門家でなくともわかりやすい説明となっているか?

記入例などを活用する

公開している記入例や過去に採択された事例は、申請書の作成に大いに役立ちます。文章の書き方や表現の仕方などは、ぜひ参考にしましょう。これらを活用すれば、より申請書作成のイメージをつかみやすくなります。

補助事業のタイトルはできるだけ工夫する

補助事業のタイトルは、審査においてとくに目を引き付ける箇所となるため、できるだけ工夫するようにしましょう。タイトルには、担当者が読んでみたいという気持ちにさせるような工夫やインパクトを入れることが評価の向上につながります。

なお、採択事例では、タイトルが公開されていることが多いため、タイトルの決定に困るような場合には、これらを見ることで参考にすることができます。

写真や図を入れるなどビジュアルにもこだわる

申請書の作成で、以外と重要となるのが、事業の仕組みや計画のフロー、試作品の形状などをビジュアルで説明するということです。図や表、画像などを適切に使用することで、わかりやすく理解しやすい内容とすることができます。
なお、重要なポイントについては見やすく色分けする、試作品の写真を添付する、見出しをつけるなども効果的となります。

ビジネスとして成り立つのかを意識する

補助金では、「本当に売れるのか?」、「作成や実施が可能なのか?」、「販路はあるのか?」「資金繰りが困難にならないか?」などの項目が審査の対象となります。

たとえ、どんなに優れた内容であっても、それが実際の事業として成り立つものでなければ採択の対象とはなりません。とくに技術力をメインとした計画では、このような視点が漏れやすいため、キチンと計画に反映されているかどうかを確認してください。

 

 

まとめ

補助金の申請では、規定通りに作成できているかということだけでなく、「補助金の趣旨や目的にあった事業なのか?」や、「事業の実現可能性があるのか?」といった点も重要なポイントとなります。それとともに、書き方についても、どのようにすれば伝わりやすい内容と
なるのかにも配慮しましょう。
しかし、はじめて補助金の申請をする場合には、「申請書をうまく作れない」、「アイデアをうまくまとめられない」ということも少なくないと思います。そのような場合には、早めにプロに相談することをおすすめします。
経験豊富な専門家にアドバイスをもらうことで問題を解決できるだけでなく、計画の精度を高めることができます。