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2022/12/4

経営革新認定支援機関とは?その役割やメリットは?

皆さんは補助金の申請をする際に「認定支援機関の支援が必要」という条件が付いているのを見たことはないでしょうか?
「認定支援機関」とは、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、これを簡単に説明すれば「国から認定された創業や企業の経営サポートをする人や機関」ということになります。
補助金等の制度では、この認定支援機関によるサポートが申請の条件となっていることが少なくありませんが、実際の選択にあたってはどれを選べばよいのか判断に迷うこともあります。
そこで今回は認定支援機関の役割やメリット、選択の注意点、認定支援機関のサポートが必要となる補助金などについて解説いたします。

 

 

「認定支援機関(認定経営革新等支援機関)」とは?

ここでは認定支援機関に関する概要や、サポートの内容についてご説明します。

 

認定支援機関(認定経営革新等認定支援機関)とは?

認定支援機関(認定経営革新等認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあるとして、国(中小企業庁)の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)のことをいいます。

 

中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。

 

なお、認定支援機関になるためには、所定の要件を満たした上で、経営革新等支援業務に関する一年以上の実務経験を含む三年以上の経験が必要とされています。

 

 

認定支援機関の役割

認定支援機関は次のようなサポートにより、創業者や中小企業の経営の支援を行います。

 

・経営の「見える化」をサポート

企業の経営相談から、財務状況、経営状況に関する調査・分析をサポートします。

 

・事業計画の作成をサポート

融資や補助金の申請に必要となる事業計画等の策定・実行支援から、進捗状況の管理、フォローアップまでをサポートします。

 

・取引先の増加や販売の拡大をサポート

認定支援機関が持つネットワークを活用し、新規取引先の開拓や販路拡大のサポートをします。

 

・専門的課題のサポート

海外展開や知的財産の管理等の専門的な課題については、最適な専門家を派遣し、認定支援機関と一体となって支援します。

 

・金融機関との関係構築をサポート

金融機関へ提出する資料の作成などを通じて、資金調達力の強化につなげます。

 

 

 

どんな人が認定支援機関になっているのか?

認定支援機関になるためには、2つの方法があります。

 

その1:「税理士」、「弁護士」、「公認会計士」、「中小企業診断士」の認定基準

これらの4士業については、次の3つの基準を満たすだけで認定支援機関となることができます。

 

(1)税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士」のいずれかの国家資格を有していること

(2)中小企業・小規模事業者に対する支援に関し、法定業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していること※

(3)その行おうとする法定業務を長期間にわたり継続的に実施するために必要な組織体制(管理組織、人的配置等)や事業基盤(財務状況の健全性、窓口となる拠点、適切な運営の確保等)を有していること。

※ 実務経験を有していない場合でも、中小企業経営改善計画策定支援研修を受講し試験に合格することで、それを補完することが可能。

 

その2:「税理士」「弁護士」「公認会計士」「中小企業診断士」以外の認定基準

上記の4士業以外の人については、次の3つの基準を満たす必要があります。

 

(1)税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識を有していること

(2)「税理士」「弁護士」「公認会計士」「中小企業診断士」の認定基準(2)および

(3)と同じ

 

(1)でいうところの「税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識を有していること」の要件を満たすには、次のいずれかに該当する必要があります。

① 自らが主たる支援者となって3件以上の経営革新計画等を策定し、認定を受けるこ

と ただし、「経営力向上計画」については、最大1件までしか実績として認めて

もらえません。

② 中小企業基盤整備機構で指定された研修を受講し、試験に合格すること

 

 

「実務経験を有していない場合の補完方法」

認定基準の2つめに「中小企業・小規模事業者に対する支援に関し、法定業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していること」とありますが、実務経験を有していない場合でも、中小企業経営改善計画策定支援研修(実践研修)を受講し試験に合格することで、それを補完することができます。

 

つまり、「税理士」「弁護士」「公認会計士」「中小企業診断士」の場合は国家資格を有しているだけで認定支援機関となることができますが、それ以外の方については一定の経験を積む、もしくは所定の研修を受けることで認定支援機関となることができるのです。

 

 

認定支援機関によるサポートの流れ

認定支援機関によるサポートを受ける場合の流れは以下の通りとなります。

 

1.相談内容を決める

まずは、認定支援機関に相談する内容を考えましょう。相談内容には、業績アップ・財務改善を図りたい、財務内容や経営状況の分析を行いたい、経営の向上を図りたいなどなどが考えられます。また、申請にあたって、認定支援機関のサポートが要件とされている補助金もあります。

 

2.支援機関を探す

経営のニーズや課題にあわせて認定支援機関を検索します。

顧問税理士や弁護士がいる場合は、認定支援機関になっている可能性もありますから、まず確認してください。

顧問税理士や弁護士が認定支援機関出ない場合は、経済産業省が行っているミラサポや各都道府県の「よろず支援拠点」(無料)に相談すると認定支援機関の紹介を受けることができます。また、認定経営革新等支援機関検索システムを使って、自分で探すこともできます。

認定支援機関検索_エリア選択 (force.com)

 

3.認定支援機関に相談する

認定支援機関では、以下のような相談をすることができます。

 

・経営状況の把握

長短借入金の影響分、人口データからの売上推計など

・事業計画の策定

強みを生かした戦略立案支援、財務の安定化に係るアドバイスなど

・事業計画の実行(事業の実施に必要な支援・助言)

月次決算書等の作成指導、計算書類等の作成指導、金融機関への説明補助 など

 

4.事業計画などを作成する

認定支援機関が金融機関等に提出する事業計画や経営改善計画書の作成を行います。

 

5.モニタリングする

経営革新等支援をした事業計画が順調に進んでいるか、継続的にモニタリングします。

 

 

 

認定支援機関を利用するメリット

認定支援機関によるサポートには、以下のようなメリットがあります。

 

信用保証協会の保証料の減額が利用できる

認定支援機関の支援を受け、事業計画の実行と進捗の報告を行うことを条件に、信用保証協会の保証料が減額されます。

 

事業再構築補助金・ものづくり補助金などの申請が可能になる

「事業再構築補助金」「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業(ものづくり補助金)」などの補助金については、認定支援機関が事業計画の内容を確認することで、申請が可能となります。

 

事業計画の策定支援で、対応策が明確になる

認定支援機関とともに、事業計画を策定することで、経営の現状を把握することができ、課題を発見することができます。

 

 

 

優秀な認定支援機関の探し方、サポート費用は?

これまでの本業での経験年数や認定支援機関になった年数を確認する 

適切なサポートやアドバイスが受けられるか否かは、その支援機関がどれだけ経験を積んできたのかにより大きく異なります。

 

したがって、認定支援機関を選ぶ際には、その事務所のHPなどで開業年や経験年数を確認するようにしましょう。

 

相談内容に関する専門知識を持っているかを確認する

サポートをする上で欠かせないのが、その相談内容に関する知識やスキルです。

 

認定支援機関といっても、多くは本業を持っている方であり、その本業が何かによりベースとなる知識や量が異なります。

 

そのため、税金に関する相談であれば弁護士よりも税理士の方が向いていますし、人事や労務に関する相談であれば社会保険労務士が適任といえます。

 

このようにどのような職種についているかにより相談に適した相手も変わってくるため、まずは自分の相談に向いた士業は何かということから考えると失敗がありません。

 

サポートにかかる費用はどれくらいか?

認定支援機関では初期の相談は無料で行っているところがほとんどですが、具体的な案件に関するサポートについては、多くが有料での対応となります。

 

費用はそれぞれの認定支援機関が独自に決めますので、サポートを受けるときには、事前にかかる費用を確認しておくようにしましょう。

 

 

支援機関のサポートが必要となる補助金など

申請等にあたって支援機関のサポートが必要となる補助金その他としては、以下のようなものがあります。

 

先端設備等導入計画(中小企業等経営強化法)

事業者が認定支援機関の確認を受けて市区町村に先端設備等導入計画の認定を申請し、認定を受けた場合には、当該計画にもとづいて投資した設備について、固定資産税が3年間軽減されます。

 

経営改善計画策定支援事業

財務上の問題を抱えており、金融支援を含む本格的な経営改善を必要とする中小企業が、認定支援機関から経営改善計画の策定の支援を受けることができます。

 

経営力強化保証制度

認定支援機関による事業計画や期中フォローアップ等の経営支援を受けることによって、信用保証協会の保証料が減免されます。

 

事業再構築補助金、ものづくり補助金

「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」では、認定支援機関に確認を受けることが必要となります。

 

みんなの補助金」を運営するみんなの会計事務所ももちろん経営革新等支援機関の認定を受けていますから、お気軽にご相談ください。

 

 

 

まとめ

認定支援機関の役割やメリット、選択の注意点、認定支援機関のサポートが必要となる補助金などについて解説しました。

認定支援機関はいわばビジネスパートナーであり、場合によっては会社のドクターのような役割を持つことになります。相性がよく、信頼できる認定支援機関を見つけることが重要となるでしょう。