補助金最新情報
2023/1/8
ものづくり補助金とは?その概要を解説
ものづくり補助金の制度概要が知りたい方に今回の内容は必見です。ものづくり補助金は、補助金制度が創設されてから、比較的長く継続されています。高額な補助が受けられるので、製造業の設備投資でよく利用されているのが特徴です。そこで今回は、ものづくり補助金(14次公募以降)について最新の概要にあわせてイチから解説します。
なお、記事の内容は投稿日時点で最新のものとしていますが、改正等される可能性があるため、常に最新の情報を確認するようにしてください。
ものづくり補助金の政府の目的とは
ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
令和4年12月に中小企業庁から発表されたものづくり補助金の目的は次の3つです。
- ・革新的製品・サービスの開発又は生産プロセス等の改善に必要な設備投資等を支援、
- ・大幅な賃上げに取り組む事業者へのインセンティブの強化
- ・海外でのブランド確立などの取組への支援強化
現在の政府の流れでもある所得増加計画を実施する企業への支援や、海外展開への支援など世相を反映した内容となっています。
3つの柱はありますが、これらに取り組む全ての中小企業が補助金を受領できるわけではなく、応募申請をし採択されてはじめて補助金が受領できます。
応募申請にも「枠」があり、どの枠で応募するのがベストなのか判断しなければなりません。
ものづくり補助金の全体像が分かる「申請枠」とは
ものづくり補助金に応募申請するためには、申請枠の検討をしなければなりません。申請枠とは次の5つがあります。
- 1.通常枠
- 2.回復型賃上げ・雇用拡大枠
- 3.デジタル枠
- 4.グリーン枠
- 5.グローバル市場開拓枠
上記5つには、それぞれ「このような事業者が向いています」という概要があります。
1.通常枠
通常枠は新商品や新サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資、試作支援開発を支援するものです。
補助上限額と補助率は以下のとおりです。
【補助上限額】
- ・5人以下:750万円
- ・6~20人:1,000万円
- ・21人以上:1,250万円
【補助率】
小規模・再生事業者は2/3・それ以外は1/2
2.回復型賃上げ・雇用拡大枠
回復型賃上げ・雇用拡大枠は、前年度の事業年度において課税所得がゼロである事業者が、賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発又は生産プロセスやサービスの提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援するものです。
【補助上限額】
5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円
【補助率】
事業規模にか合わらず2/3
3.デジタル枠
デジタル枠は、DXに資する革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するものです。
【補助上限額】
5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円
【補助率】
事業規模にか合わらず2/3
4.グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するものです。補助上限枠も今回から3種類に分かれたのが以前と異なる点でもあります。そのほか、今回から機械装置の撤去費用についても補助対象経費に含める場合があります。
【補助上限枠】
- ・エントリー 5人以下: 750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円
- ・スタンダード 5人以下:1,000万円
6~20人:1,500万円
21人以上:2,000万円
- ・アドバンス 5人以下:2,000万円
6~20人:3,000万円
21人以上:4,000万円
【補助率】
事業規模にか合わらず2/3
エントリー・スタンダード・アドバンスの違い
14次公募分から出てきた新しい申請要件です。この3つすべてに共通しているのは次の2つです。
- ・事業期間3年から5年のうちに事業場単位での炭素生産性年率平均+1%向上
- ・親取引企業からの要請を受けて取り組みを行う事業者には審査の際に加点
さらにエントリーには次の要件が必要です。
- ・GHG排出削減の取組未実施又は初歩的な取組でも可
また、スタンダードとアドバンスには次の要件が必要です。
- ・GHG排出削減に係る高度な取組を実施していること(例:バイオマス素材への変更等)
アドバンスはこの要件を満たしたうえで、更にもう1つ追加されます。
- ・省エネ法の定期報告でS評価若しくは過去3年以内に省エネ診断等を受診していること又はGXリーグに参加していること
5.グローバル市場開拓枠
海外事業の拡大等を目的とした設備投資等を支援するものです。海外市場開拓(JAPANブランド)類型では、海外展開に係るブランディング・プロモーション等に係る経費も支援の対象となります。「JAPANNブラント」と聞いてもピンとこ無いかもしれませんが、代表的なものに今治タオルが有名です。(今回のものづくり補助金とは関連性はありません)
また、今回から、従来の1,000万円という下限から100万円に引き下げられ、広告宣伝に活用しやすいようになりました。
【補助上限額】
従業員数にかかわらず3,000万円 ※ただし補助下限額は100万円
【補助率】
小規模・再生事業者は2/3・それ以外は2/1
申請の時には、グローバル市場開拓枠の中でもどの類型にあてはまるかを把握する必要があります。類型の種類は全部で4つあり、以下の通りです。どれを選択しても、補助上限額および補助下限額と補助率に変更はありません。
- 1.海外直接投資
- 2.海外市場開拓 (JAPANブランド)
- 3.インバウンド市場開拓
- 4.海外事業者との共同事業
また、今回注目すべき補助対象経費は次の通りです。
- ・機械装置・システム構築費
- ・技術導入費
- ・専門家経費
- ・運搬費
- ・クラウドサービス利用費
- ・原材料費
- ・外注費
- ・知的財産権等関連経費
- ・海外旅費
- ・広告宣伝・販売促進費(海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ)
先にも触れましたが、海外市場開拓JAPANブランドの場合のみ、広告宣伝・販売促進費が対象です。
ものづくり補助金は今回から更に共通の改正アリ
今回のものづくり補助金の改正から、共通の改正があります。(ただし「2.回復型賃上げ・雇用拡大枠」は除く)
具体的には、大幅な賃上げに取り組む事業者向けに、通常の補助額から上乗せを受けられるというものです。上乗せ額は100万円〜1,000万円となっています。
ただしこれには条件があり「補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者」が対象となります。
例えば、グローバル市場開拓枠で申請した場合、上限が最大4,000万円まで引き上げ可能です。
とはいえ、無理に賃上げ計画を作成すると達成できなかった場合には、上乗せ部分の全額返還がありますので要注意です。補助金自体は一般的に事業計画通りに事業が進まなかったとしても、不正がなければ返還を求められることはありません。無理な賃上げ計画は最終的に利益を圧迫する結果にもなりかねません。そのため「補助金が多くもらえるから」という安易な発想で計画書を作成せず、適用する場合は慎重な検討が必要です。
ものづくり補助金の今後の公募スケジュール
令和4年度2次ホセから令和6年度にかけ切れ目なく事業を実施することが明言されています。この期間該当するのは第14次公募から第20次公募までです。
直近第14次公募の予定は次の通りです。
公募要領は、令和5年1月中旬頃
公募開始の14日後に申請受付開始になっているのが最近の傾向です。そのため、1月下旬から2月上旬にかけて受付開始になると予想できます。
また、申請受付期間は開始からおおむね5週間前後なので、早めの準備が必要です。
まとめ
ものづくり補助金の概要について解説しました。ものづくり補助金はこれから新製品、新商品、新サービスを開発する企業を大きく支援してくれるでしょう。なお、補助金の要件などは頻繁に変わりますから、常に最新の公募要領を確認するようにしてください。
こちらの記事ではものづくり補助金の活用方法について解説しています。ぜひ参考にしてください。
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